手術後から3週間の入院期間を目安にリハビリを実施
当院では、人工股関節置換術後、人工膝関節置換術後の患者さまに対して、手術後から3週間の入院期間を目安にリハビリを実施しています。
手術前には、痛みの程度、脚の長さ、関節の可動範囲、筋力などを評価しています。また、手術前の歩行状態を撮影し、手術後のリハビリに生かしたり、退院前に再撮影して比較することで手術による変化を患者さまご自身にも感じていただけるよう取り組んでいます。
早期回復のために、必ず翌日からリハビリを開始
手術後のリハビリは翌日から始まり、午前には車椅子に座り、午後には立位や歩行練習を行い、早期回復が図れるように努めています。リハビリは日曜日や祝日も休みなく実施していますので、手術翌日が祝日でも他の患者さまと変わりなくリハビリを受けていただけます。手術から概ね1週間程度で杖歩行が可能となり、退院までの間に階段昇降練習や屋外歩行練習で動作を確認していきます。人工股関節置換術後は、正座やあぐら等の床上動作練習も実施していきます。人工膝関節置換術後では、近年、術後の筋力向上に有用であると報告されている電気刺激治療も取り入れて実践しています。また、退院後も自宅でリハビリを継続できるように、自主練習メニューをお渡しして、身体機能や歩行能力のさらなる向上に努めています。
術後すぐ、患者さまと一緒に取り組む
当院では、毎週一定数の人工関節置換術が施行されていることから、リハビリスタッフが経験する症例数も多く、人工関節置換術後のリハビリを特化して学ぶことができています。
手術前は関節の変形によって関節の可動範囲の制限や骨由来の痛みを呈していますが、手術後はその問題が解消されるため、関節の機能や歩行能力は大きく改善します。しかし、関節の周囲にある筋肉の伸び具合や筋力は手術前と変わらないため、人工関節の機能を生かすために筋肉をどのように働かせていくか、再学習を図る必要があります。
術後だけでなく、術前を含め患者さまをチームでフォロー
また、長年痛みを患っていると、痛みをかばうような動作方法が定着していることが多く、手術によって関節が良くなったとしても、立ち座りの方法や歩き方をすぐに変えることは難しく、繰り返し練習して獲得する必要があります。そのため、リハビリでは手術侵襲によって生じる痛みや関節の可動範囲の制限に対して治療するだけでなく、手術前から患者さまが抱えている問題も把握して、人工関節の機能を最大限発揮できるよう、患者さまの身体全体を評価しながらリハビリを実施しています。また必要に応じて、チーム全体で意見を出し合いながら治療方法についても検討し、患者さまに満足していただけるよう取り組んでいます。